こんにちは、

 

 堀川@大阪です。

 

 きょうはすこし筆が乗ってます。

 日本の留学生政策について書きます。

 

 まず、大上段に振りかぶっていうと、(良く言われることではありますが)日本はもっと戦略的にものを考えるべきだし、フェアーになるべきです。

 

 具体的にいうと、「いま留学生対策にこれくらいの費用をかければ、これくらい留学生の日本に対する好感度がアップして、将来これくらい外交上有利になる」という発想で予算を配分していいし、実際、某農道空港や某干拓地をつくり金があったら、どんどん留学生政策に回すべきなのです。現在のところ、留学生対策費はなきに等しいので、いったんまとまった額がまわれば、その効用は絶大なものになるでしょう。

 

 もっと具体的に政策をいいますと、たとえば、全国100の主要大学に「留学生寮」を建てるとします。(なぜ留学生寮なのかについては、あとで議論します。)大学の敷地内に建てるので、土地代は考えないとします。(これを考えると、土地が私有の日本では、あまりにも高額になり、計画が成り立たなくなりますので。それに、たいていの大学なら、これくらい建てられる敷地はあるでしょう。)かりに建設費が9億円、30年で減価償却(30年間、年割で費用を分担するということです)すると、一年あたりの費用は3000万円です。職員の方の給料を年額平均500万円とし、10人で運営すれば、5000万円。その他の諸経費を2000万円として、計1億円です。100件で100億円。入居者からは、食費分+α程度の寮費を徴収する(一人一日1000円として、大体3万円位でしょうか。もしそれを財政から賄うと、100人居住で3600万円アップになります。)として、これだけの財政支出で全て運営が賄えます。これがまずひとつめ。  

 次に奨学金政策です。1万人に奨学金を支給します。金額は年額100万円。まあ、多いとは言えなくても、少なくても、勉強の支障になるアルバイトを大幅に削減できるくらいの額ではあるでしょう。これがトータル100億円。(ちなみに全ての奨学金受給者が上記の留学生樓に入ると、1件あたり100人。まあ、妥当な水準でしょう。)

 

 最後に、留学生の身元保証。これにはお金はかかりません。公正な審査の結果一定基準を満たしていると判断される留学生の身元くらい、政府が保証してください。(つまり、スムーズにビザを出すということ。)留学生寮を完備し、奨学金もあれば、心配の種はほとんどないに等しいでしょう。

 

 これだけやっても、総経費は200億円。効果がどの程度のものかは、みなさんの御判断にお任せするとして、実現可能性の立場から、現在の国家予算と比較して、この金額がどの程度のものか考察します。

 

 平成8年度(1996年度)の中央政府の歳出は75兆1049億円ですが、このうち、国債の償還、利払い(国債費)に16兆3752億円、それと、地方政府への配分(地方交付税交付金)に13兆6038億円回されるので、実質的な中央政府の使用可能額は43兆1409億円となります。(出典:『日本の国家予算』講談社、吉田和男編著1996年、以下数字の出典はここから)  ちょっとピンときにくい数字かもしれませんが、以下具体的に比較して見ますので、徐々にピンとくるでしょう。

 まず、この実際中央政府が使える金額にこの留学生政策費用200億円が占める割合 は、何と0.046%です。つまり、2000分の1以下ということになります。これだけで 、どれだけ留学生の対日感情が向上するか。(そして、もちろん留学生の実際の生活も)  もっと具体的に個別事象と比較しましょう。たとえば、文教、科学振興費6兆2270 億円の、0.32%。ODA1兆715億円の1.8%です。住宅金融公庫の利子補給に毎年4000億 円がつぎ込まれていますが、その1/20で済むことになります。さらになにかと無駄使 いとの批判の多い公共事業関係費は9兆6184億円。その無駄使いをたった0.21%抑え れば、留学生政策に回せます。

 こう見てくると、100件・1万人体制どころか、1000件10万人体制でさえ簡単に実現できるような気さえします。これでいければ、かなり多くの留学生が救われるでしょう。やはり日本はお金持ちだったんですね。でも、残念ながら、それを使いこなす知恵が欠けているようです。 

 

 さいごに、なぜ留学生寮なのかですが、はっきりいって、外国人に貸したくないというマインドを改めるのは、財政支出を変化させるのよりさらに難しいと考えるからです。  そのような状況下でなら、政府が留学希望者の相当分を賄える宿舎を用意するのが、留学生の対日感情の悪化を食い止めるのに、短期的には効果的と言うことです。  中国の大学が、ことごとく留学生を大学内に住まわせるのは、管理がしやすいということのほかに、一定以上の生活水準を保証することにより、留学生の不満を最小限に抑えるという意味があるようです。もし、いま中国にいる留学生がことごとく自分で住居を探さなければならないとしたら、その混乱は察して余りあります。留学生の対中感情も確実に悪化するでしょう。  また、アフリカから優秀な留学生を多数受け入れ、生活に必要な最低限の奨学金を支給しています。彼等は、帰国後ほぼ親中国派になるのではないかと思われます。日本より台所事情は苦しいのに、中国の留学生政策は、立派なものだと思います。さすが戦略の分かる国。これこそ大人の風格と言えば、褒めすぎでしょうか。でも、日本と中国の将来の差は、この辺によるのではないかと思っています。

 

 すこし話がずれましたが、管理はともかく、快適な留学生生活を保証するために、留学生寮を完備する必要があるという日本の現状は、先進国と銘打つ国としては、多少寂しい気もしますが、現状を見る限り当面それしかないのではないでしょうか。

 

 さいごに、「先進国」と銘打つのにさらに恥ずかしい現状は、不透明な慣行です。ビザを出す際の基準をもっと明確にすべきです。こんなことをやっていても欧米から叩かれないのは、ひとえに彼等にとって、ビザがたいした問題ではない(彼等にはビザが出やすい)からに過ぎません。外から叩かれないと直らないというのも情けないですが、運良く?叩かれないために、かえって信頼を失う事態を直せないというのは、悲しすぎます。 はやくもっと大人になるべきでしょう。

 

 長くなりましたが、きょうはこの辺で。

 

                  1997.6.27  大阪  堀川 哲朗